木下鋳工で働く立花アキラ(柏原収史)は、幼い頃から父親代わりでもあった工場の社長・木下(朱源実)から受け続けた性的虐待がトラウマとなり、今でもうまく人を愛することができない。工場の外では一回数万円で刑事の福田(佐野和宏)の相手をしている。高熱で溶かされた鉄、地味できつい労働……アキラの中にはやり場のない鬱屈がたまっていた。

そんなある日、バイクを飛ばしていたアキラはトンネルを曲がったはずみで赤いワンピースの女をはねてしまう。道に投げ出された彼女を家に連れ帰り看病するが、目覚めた女は何も言わずに立ち去る。それが山本香里(あんず)との出会いだった。

数日後、香里は忘れ物のバッグを取りにアキラの住むアパートを訪れる。その名は「いづこ荘」……。アキラはいつになく心を開いて香里に話しかけるが、玄関の外では嫉妬に燃えた福田が聞き耳をたてていた。物音に気づいて立ち上がろうとしたアキラの腕を香里は無言でつかむ。
「意外と力、強いんだ」

やがて夫の気持ちに気づいた木下の妻(村松恭子)はアキラに一方的な解雇を言い渡す。連れ戻そうと家まで押しかけてきた木下と争ううちに、運悪く包丁が落ちた。事の重大さに怯えるアキラは、その日、やってきた香里と衝動的に結ばれる。

香里とアキラは木下の死体に灯油をかけて焼き、海に捨てる。もう元には戻れない。

「行こうか」「うん、行こう」

二人を乗せたバイクはどこへ向かうのか……。